身代わり令嬢に終わらない口づけを

「楽器の音は、吹く者の心を如実に表す。あの音を聴いて、お前に対する印象が変わったのだ。確かにお前の物言いはきつかったが、よくよく考えれば、お前の言ったことは全てお前の嘘偽りのない心からの言葉だった。そして、それらは俺を拒絶するのものでもなかった。お前は、一生懸命俺に添おうとしてくれていた。だから俺も、偽るのは……やめようと……だが……」

 なぜか、レオンの言葉が尻つぼみになる。その顔を見上げると、レオンはふいに我に返ったように口調を変えた。


「くだらないと思うか?」

「なにをですか?」

「楽器など、貴族の使うものではない。公爵家に連なる俺が、トラヴェルソなど……」

「そう言われたのですか? 公爵様に」

 レオンが、目だけでローズを見る。その顔に、ローズは笑みを返した。