身代わり令嬢に終わらない口づけを

「いえいえ、こまめに様子を見にきて下さって、子供たちも喜んでおります。今日はお忍びですかな」

「ああ、まあ、そんなところだ」

 レオンの格好を見て聞いた院長は、なぜかうんうんと含み笑いをした。


「やはりご兄弟ですね。どうぞ祭りを楽しんでください。そういえば、子供達から聞きましたが、先日はトラヴェルソをお聞かせくださったとか。ぜひ、私も聞いてみたいものです」

「トラヴェルソ?」

 意外な言葉にローズが聞き返すと、レオンは激しく狼狽した。


「そ、それは……!」

「レオン様、トラヴェルソが吹けるのですか?」

 ローズが聞くと、院長はおどろいたようにその顔を見た。