身代わり令嬢に終わらない口づけを

「レオン様! お歌聞いてって!」

「私、クッキーを焼いたんです。まだあるから召し上がって」

「レオン様!」

 その様子で、ローズは気づいた。ここは、おそらくカーライル家で寄附をしているという孤児院なのだろう。


「おや、これはカーライル卿」

 賑やかな子供たちに囲まれてレオンとローズが中に入ると、そこにいた一人の老人が深々と頭を下げた。

「ありがとうございます。おかげさまで、今年も無事に秋祭りを迎えることができました。先ほど公爵にもご挨拶しましたが、カーライル卿にもお越しいただけるとは」

「公爵家のつとめだからな」

 照れているのか、少しぶっきらぼうにレオンが答えても、院長はにこやかな表情を崩さない。