身代わり令嬢に終わらない口づけを

(一体私、どうしちゃったのかしら……)

 言葉を詰まらせたローズに、レオンは優しく言った。

「今日はもう帰ろう。厳しくされて、明日抜け出せなくなると困るからな」

「……はい」


  ☆


「待たせたな。用意はいいか」

 次の日、ローズが約束通り裏庭で待っていると、あたりをうかがいながらレオンがやってきた。その姿を見て、ローズの返しかけた言葉が口元で止まってしまった。

 お忍びで街に出るために、レオンは貴族の普段着ではなく街の青年の格好をしていた。けれどそんな格好になっても、レオンの精悍さは隠せない。むしろ、服装が質素なだけに逆にその体躯や顔に目が惹きつけられて、ローズはついその姿に見惚れてしまう。

(レオン様、かっこいい……)