身代わり令嬢に終わらない口づけを

「エリックはもう長く俺に仕えているが、あいつが動揺している様を俺は見たことがない。黙って俺がいなくなったら、あいつはどんな顔をするかな」

「そんな……何もレオン様がそんな真似をしなくても」

「かまわん」

 レオンは、結ばずに流しているローズの髪にさらりと触れた。


「お前と同じ気持ちを味わってみよう。想像しただけでこれほどに胸が浮き立つのなら、実際試してみたら一体どんな気持ちになるのか。俺も、今から楽しみだ」

(レオン様……)

 穏やかに微笑むその顔を見上げると、ローズの胸は締め付けられるように苦しくなって、なぜだか涙が出そうになる。