身代わり令嬢に終わらない口づけを

「一度、格闘大会で戦った相手が、熊というあだ名の大男だったのだ。その噂に尾ひれがついたのだろう」

「勝ったのですか」

「腕っぷしには自信がある。それより、そんな恰好までしてせっかく出てきたのだ。どこか行きたいのではないか?」

 含み笑いをしながら、レオンが行った。どうやら、ローズが祭りが見たくて出てきたと思っているようだ。


 ローズはおそるおそる言った。

「あの、お祭りで一番賑やかなあたりを、見てみたいです……」

 あの男は、マトレ通りをここらへんで一番賑やかな通りと言っていた。それが嘘でなければ、そこがローズの目指す場所だ。