身代わり令嬢に終わらない口づけを

 どれだけベアトリスが破天荒でも、レオンにはそれを受け止めるだけの器がある。

 きっと、二人はいい夫婦になれる。

 そう思えば思うほど、なぜかローズの胸は締め付けられるように苦しくなる。

(考えちゃ……いけない……)

 自分の考えを振り払うと、ローズは顔をあげた。

「レオン様は、お一人なのですか?」

「ああ。お前の姿が見えたので、エリックは先に帰した。お前こそ、ソフィーは一緒ではないのか?」

「え、ええ……その」

 まさか、黙って出てきましたとも言えずに、ローズは話をそらす。


「あの、熊を素手で倒したのですか?」

 一瞬目が点になったように見えたレオンが、ふ、と笑った。