「あの、ありがとう。わかったからあとは自分で行くわ」

 さりげなく道をそれようとしたローズの腕を、男はがしりとつかんだ。

「つれないこと言うなよ。ここまで来て、それはないだろ」

 とっさに腕を振りほどこうと抗うローズに向かって、路地の男たちが近づいて来る。



「上玉だな。やったじゃん」

「お嬢ちゃん、こわがることはないよ。一緒に楽しく遊ぼうってだけだから」

「早く、こっちへおいでよ」

 それぞれに言う男たちを見て、ローズはぞっとした。


「いやっ……離して!」

「おっと、静かにしろよ。暴れると痛い目を見るよ」

 ローズの手を掴んでいる男は、先ほどとは違う下卑た笑いをその顔に乗せていた。