「そういえば、昨日お前によく似た女性を見かけた」

 無難な話題を見つけたらしく、ようやくレオンが口を開いた。

「……わたくしに、ですか?」

「ああ」

 レオンは、ローズが話を続けたことにほっとしたように言った。


「昨日、出がけからの帰りに馬車から見たのだが、少し髪の色が濃いくらいでお前によく似ていた。あれほどそっくりな人間もいるものだと……」

「どこで見かけたのです?!」

 思わずローズは席を立っていた。予想外の剣幕に、レオンが目を瞬く。