身代わり令嬢に終わらない口づけを

 ローズ同様、レオンの様子も日に日に砕けたものになっていた。口数は多くないが、穏やかなその態度は居心地の悪いものではない。

(貴族の中にも、こんな方がいるのね)

 ローズは、ベアトリスが貴族の令嬢として一風変わったお嬢様だと思っていたが、意外に堅苦しいばかりが貴族ではないのかもしれない。レオンの姿を見て、ローズはそう思い始めていた。


「奥様、お時間でございます」

 二人で花を見ていると、ソフィーがひかえめに声をかけてきた。

「なにかあるのか?」

「先日のウェディングドレスの仮縫いができましたので、もう一度試着を」

 かすかに顔を赤らめながらローズがいうと、レオンはなぜか複雑な表情になった。

(レオン様?)