貴族の家にはありがちな問題だが、自分で言っておいて、ローズはそれはないだろうと思った。あのレオンの性格からして、人を妬むようことはしないだろう。ただ、自分の意思とは関係なく、利害をもくろむ親類縁者もないことはないかもしれない。
「そんなことはございませんわ」
案の定、ソフィーの答えもあっさりしたものだった。
「レオン様はお兄様をとても慕われておりました。どれほどまわりから比べられても決して苛立つことはなく、むしろ優秀なお兄様を自慢にすら思っていたほどです。ハロルド様が当主となったあかつきには、ご兄弟で力を合わせてカーライル公爵家を守っていかれるものと思っておりました」
「ハロルド様って、そんなに優秀な方だったの?」
「そんなことはございませんわ」
案の定、ソフィーの答えもあっさりしたものだった。
「レオン様はお兄様をとても慕われておりました。どれほどまわりから比べられても決して苛立つことはなく、むしろ優秀なお兄様を自慢にすら思っていたほどです。ハロルド様が当主となったあかつきには、ご兄弟で力を合わせてカーライル公爵家を守っていかれるものと思っておりました」
「ハロルド様って、そんなに優秀な方だったの?」



