身代わり令嬢に終わらない口づけを

「奥様、どうか、それは……」

「レオン様から、お兄様だとうかがったわ。でもそれ以上は聞けなくて」

「レオン様が、ですか?」

 少し目を丸くしたソフィーは、それでも迷っているようだった。


「お願い。あなたから聞いたことは、誰にも言わないわ。結婚する相手の事は、どんなことでも聞いておきたいの」

「でも……」

「何か、不幸なことだったら、よけいにレオン様や公爵様には聞けないもの。何も知らなくて、この館の方々を無神経に傷つけるようなことはしたくないの。私は、知るべきだと思うのよ」

 ローズがいうと、何か考えていたソフィーは頷いた。