身代わり令嬢に終わらない口づけを

 なぜそれをこの館の人々が隠すのはわからないが、それを知らないままベアトリスをこの家に嫁がせて良いのだろうか。知らないことで、ベアトリスになにか不都合が起きることはないのだろうか。


(やっぱり、このままにはしておけない)

 ぱたん、と本を閉じたローズは顔をあげた。

「ねえ、ソフィー」

「はい」

 花瓶の水を入れ替えていたソフィーが、こちらを向いた。レオンにもらったバラの花は、ソフィーがかいがいしく手入れをしてくれているおかげで、まだ瑞々しく咲いていた。

「ハロルド様について教えてちょうだい」

 その名前が出ると、ソフィーの顔がこわばった。