身代わり令嬢に終わらない口づけを

 それを聞こうと、ローズはここまで彼を追ってきたのだ。そのことを話してくれなかったソフィーの前でこの話をするのは気がひけたので、わざわざ彼女を遠ざけた。

 ところが、その名前が出たとたん、レオンの顔から笑みが消えた。そのあまりの変化の激しさに、ローズも、は、と息をのむ。聞いてはいけないことを聞いてしまったことを、ローズは悟った。けれど、口から出てしまったものはもう遅い。

「レオン様……」

 とまどうローズから視線をそらすと、レオンは絞り出すように小さく言った。

「兄だ」


  ☆


 ローズは部屋で、ソフィーの持ってきてくれた本をおとなしく読んでいた。一応ページは繰っているものの、内容は頭に全く入ってこない。