身代わり令嬢に終わらない口づけを

 ちら、とレオンを見上げると向こうも目だけをローズに向けていた。目があった瞬間、二人で思わず吹きだす。

 弾けるように笑い出したレオンには、最初に見た威圧的な雰囲気は欠片も残っていない。柔らかそうな茶色の髪を揺らして、彼は楽しそうに笑っている。ローズがレオンのそんな笑顔を見るのは初めてだ。その笑顔に、ローズは思わず見とれていた。


 日の光にすける髪が、きらきらと輝く。以前なら意識してとっていた距離が、今は呆れるほどに近い。ともすれば、お互いの腕が触れ合ってしまいそうな距離だ。でも、なぜかローズは、今はもうその距離を離そうとは思わなかった。むしろ、その近くでもっとその笑顔を見ていたいなどと思ってしまう。それほどに、彼女にとってレオンは魅力的だった。

(レオン様は、本当に素敵な旦那様になるでしょうね)