身代わり令嬢に終わらない口づけを

 バラをもらったときにとっさにつぶやいた言葉を、律儀にもレオンは覚えていたらしい。だから、またこの色を選んだのだろう。

 ローズの胸が熱くなって、自分の手をぎゅ、と握りしめた。

(訂正します、お嬢様。この人はただの良い方ではありません。とても良い方です)


「ダリア、と言うのか」

「この花ですか? そうです。ご存じなかったのですか?」

「花の名前など知らんな。ただ……」

 言葉を切ったレオンは、ぽつぽつと言った。