身代わり令嬢に終わらない口づけを

「かしこまりました。何冊かありますのでお持ちしますね。現代の服飾についてはどうされますか」

「それも読みたいけれど、あまり多いとソフィーが持ってくるのが大変だから」

「では、ワゴンをとってまいります。少しお時間をちょうだいいいたしますがよろしいですか?」

「構わないわ。ありがとう」

 軽く頭をさげて、ソフィーは踵を返した。その後ろ姿を見送って、ローズも歩き始める。自分の部屋とは反対の方向へ。


 幸か不幸か、そばに侍るメイドを遠ざける手ならいくらでも知っている。

(ごめんね、ソフィー)

 彼女はまさか伯爵令嬢がとんずらするとは思っていないだろう。心の中で謝りながら、ローズは足を早めた。


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