身代わり令嬢に終わらない口づけを

「こちらの図書室には、フルラエ朝についての書籍はあるかしら」

「はい、ございます」

 そこで即答できるのは、ソフィーの教養の高さを示している。図書室にある資料まで、彼女はきちんと把握しているのだ。ソフィーと一緒にいると、同じメイドの立場としてローズは舌をまくことが多々ある。


「目を通しておきたいから、部屋に持ってきていただけるかしら。できればあの時代の服飾史が含まれるものがいいのだけれど」

 現在のドレスの基本は、フルラエ朝の時代に確立した。今でも正装にはついては特にその時代の基礎が重んじられるので、社交界にでるならばこれらを確実に熟知しておかねばならない。

 ソフィーは、ローズが何を知りたいのかを敏感に察した。