身代わり令嬢に終わらない口づけを

 なにしろ、何もすることがないのだ。侍女だった時のローズにはそれこそ朝から晩まで仕事があったから、暇だなんて思ったこともなかった。なのに、令嬢には仕事がない。一応、社交が令嬢の仕事といえば仕事なのだが、今のローズは結婚を控えた身で出歩くこともできない。おまけにいつでもメイドがついていて気を抜くこともできない。

 これは、ベアトリスでなくてもちょっとくらいなら抜け出したくなるかもしれない。


(私、やっぱりお嬢様にうるさく言いすぎていたのかもしれないわね)

 ベアトリスが戻ってきたら、もうちょっと優しくしようと反省した後、気持ちを切り替えてローズは先ほどの肖像画のことを考えることにした。今は、考える時間ならいくらでもある。