(私も、お嬢様といる時はあんなふうに見えたのかしら)

 先ほどのエリックとレオンの様子を思い出して、ローズはぼんやりと考えた。

 大概怒っているのはローズだったから立場は違うが、二人の姿を見ているとローズはベアトリスが懐かしく思い出される。

 身代わりを終えることよりなにより、今はただ、ローズはベアトリスに会いたかった。

(お嬢様……どこにいるのですか……)

 なんだか寂しくなって、ローズはそっと目を閉じた。

  ☆

 その夜、夕食の後で、ローズはソフィーと部屋を抜け出した。二人で誰にも見つからないように庭を抜けて、離れにあるサロンの扉をあける。

 午後はずっと部屋でおとなしくしていた。すっかり元気だから、と言っても、レオンにも安静にしているようにと言われたから、と、部屋から出ることをソフィーが許してくれなかったのだ。

(お嬢様も、あんな風に息苦しい気分でいたのかしら)