「レオン様?」

 するとレオンも顔を赤らめる。

「ほ、本当だ」

「ほおおお」

 薄目になったエリックが、にやりと笑った。

「まあ、そういうことにしておきましょう。何にしろ、レオン様がいつものレオン様に戻られたのは良いことです。……奥様のおかげですね」

 そう言うと、エリックは意味ありげな視線をローズに送ってきた。ローズが何を返す間もなく、すぐにその視線はそらされてしまう。その横顔が、微かに笑んでいるのがローズの視界に入った。

「さあ、顔を見て安心したのなら、お仕事に戻りますよ。まったく、奥様のことが気になって仕事が手につかなかったんですから」

「ありがとうございました。でも、もう大丈夫ですから」