もとが素直な性格だけに、飾らない言葉にはえも言われぬ迫力があった。いっそ、人まねをしていてくれた方が被害は少なかったかもしれない。

(あの言葉はぜひお嬢様に言ってさしあげて欲しいのに……私が倒れてどうするのよ)

 あくまでローズはベアトリスの身代わりに過ぎない。だから、レオンの言葉もすべてベアトリスにむけたもの、とローズは必死に自分に言い聞かせる。なのに、まだ胸の動悸が収まらない。ローズはベッドの中で甘いため息をついた。

(お嬢様……レオン様は素敵な方です。きっと、あなたは幸せになりますよ)


「意識が戻ったのか?!」

 ローズが体を起こしてソフィーに水をもらっていると、勢いよく扉が開いてレオンが入ってきた。

 あられもない姿だったローズは、とっさに毛布を胸までひきあげる。

「お静かに。レオン様が騒ぐと奥様のお体に障ります」

 後ろで止めているのは、エリックだった。