「さ、ぼくの背中にお乗り。
振り落とされないように気を付けて」
かもめさんの背中に乗ると、
わたしは南の島に、この"世界"に
しばらくのお別れを告げました。
「しばらくの間はさようなら。
またここに戻ってくるね」
「さあ、出発するよ!」
わたしを乗せたかもめさんは大きな翼を羽ばたかせ、
空にふわりと舞い上がりました。
「わあ!すごい!」
下を見ると、大きいと思っていた南の島は小さく、
青い海が、どこまでも広がり、
波がざあざあと優しく、激しくうねっています。
「かもめさんはいつもこの景色を見ていたんだね。
とっても羨ましいや」
「まだまだこんなものじゃないさ。
さあ、雲の上まで飛んでいくよ」
翼を力強く羽ばたかせ、
かもめさんはさらに空の上へ、上へと昇っていきます。
行き着いた先は初めて見た空の上。
もくもくとした雲が、ゆっくりと走っていきます。
「ねえ、かもめさん」
「なんだい、ヤパパ」
わたしはかもめさんに訪ねました。
「この雲はふわふわしていて、
まるでわたあめみたい。
これってみんな、食べられる?」
かもめさんは笑いました。
「あはははは。食べられるわけないじゃないか。
雲っていうのは、近くでよーく見ると
ただの細かい水の粒が、
集まって浮いているだけなんだ」
「なーんだ、そうだったんだ。
かもめさんはやっぱり物知りだね」
少し照れながら、かもめさんは言いました。
「さあ、あともう少しで
島影の国に到着だ」
気持ちいい風に歓迎されながら、
わたしとかもめさんは島影の国の、
砂浜に降り立ちました。

