未来の約束

「お互いに、年取ったな」

「大きなお世話」


呑気にそんな話をする樋口のおかげで、少し気が晴れる。


「で、最近どうよ」

「特に、変わらない」

「そうか。それは良いことだ。先月の検査結果も、特に異常はなかったし」


樋口の言葉に、ホッとする。


「嬉しいか?」

「まぁ」

「素直じゃねぇな。10年経っても」


人の性格なんて、そうそう変わるものではない。


「今年で、樋口とサヨナラしたい」

「そう、寂しいこと言うなよ。でもそろそろ俺も、お前のことを卒業させてやりたい」


卒業、か。


「できるかなぁ」

「俺の口からは、その質問には答えてやれねぇ。わりぃな」


別に、樋口が謝らなくても・・・