未来の約束

顔なじみなスタッフ達は、みんな良い人だ。

だけど、この空間に嫌悪感しかない。

あたしの全てを奪った、この場所が嫌い。


「廣木美和さん。3番にお入りください」


名を呼ばれ、重い腰を上げ、指定された部屋へと足を運ぶ。

そして促される前に、丸椅子に腰を下ろす。

目の前にいる男は、マウスを動かしながら、パソコンの画面を見つめる。

それを横目で見届けながら、相手が口を開くのを待つ。


「お前も、年取ったな」


毎月会ってて、今月の一言目がそれってどうなの?

あたしは、盛大なため息を零す。


「俺、来週誕生日なんだよ」

「おめでとう」

「気付けば、もうすぐ39だ」


それを言うなら、今年であたしは29だ。