未来の約束

「意味わかんないんだけど」

「偶然、彼を病院の外で見かけた。院内に入るわけでもなく、ただ病棟の方を見つめてた。それも、1度や2度じゃない。だから気になって、声をかけた。そしたら、何て言ったと思う?」


知らない。


「『待っててと言われたから、会いには行けない』って、『でも、少しでもお前の傍にいたいから、だから勝手に足がここに向かう』って言ってた。お前の病状や様子を聞くわけでもなく、彼はお前が帰ってくることをこれっぽっちを疑ってないみたいだった」


目頭がカッと熱くなり、溢れ出す涙が頬を濡らす。


「待ってくれてる人が、お前にはいる。だから、焦ることはない。だからお前は未来を信じて、治療に専念すればいい」


弱っていく身体に焦り、独りジタバタしていた。

でも今は、樋口の言葉に素直に頷ける。

あたし、やっぱり浩太と一緒に生きたい。