未来の約束

この10年、何だったんだろう。

まるで、人生ゲームのようだ。

月日は流れたというのに、始めからやり直しか。


「うちの支社に、田丸のこと異動させたのはお父さん?」

「あぁ。彼女、先月結婚したんだ。それで本社は出張が多いから、出張のない支社に異動希望出していてね。本人にも確認したら、行きたい意志が変わらないようだったから」


田丸は、あたしの代わりにうちの支社に来たんだ。

なら、ここにあたしの居場所はないのか。


「今日中に、荷物をまとめて置きます。それでいいですか」

「・・・すまない」

「会社には、今まで通り病気のこと言わないで。それと、病院には会いに来ないで」


弱っていく姿なんて、見られたくない。