「あの日。少しでも美和の変化に気づけていたら、美和と離れることはなかったのか?なぁ、美和。1つ聞いていいか?」


知りたくても、今日まで確認する勇気がなかった。

忘れられていたことに、どこか安堵していた俺がいた。

だけど、だからこそ、俺はいつも分岐点から進めずにいたんだ。

ドアから身を離し、真っ直ぐに向き合う。


「全部、思い出しただろ?なら、教えてくれないか。昔も今も、俺が嫌いだから離れたいのか?」


・・・答えて、くれないか。

小さなため息が零れる。


「預かってきた薬、置いてくわ。ちゃんと飲めよ」


ドアノブに預かってきた薬の袋を掛け、その場を立ち去る。