守りたいもの


ー華sideー
夢を見た…。

「やめて、奪わないで!」

神様に、私の大切なものを…

「やめてぇぇぇぇぇ!」

奪われる夢を…

ハッ

そうか…私、病院にいるんだった…。
…10時か…。大気君、学校だよね?

「…私も、行きたいな…」

行きたい…学校に…。
もっと…生きたい!!

ポロポロポロ…

奇跡なんて…起こらないのは知ってる。
だけど、信じていたい…奇跡が…起こるのを…っ!

「華…」

「…!?大気君!」

「華、学校行こう?」

「えっ…行けるの?」

「うん、行けるんだよ。」

「…っ!」

奇跡が…起きたんだ!

ダッ

「うん!」

これで…自由に…っ!

「大気…君?…大気君っ!!」

真っ暗…。怖い、怖い!助けて!
暗いよ…っ。助けて…大気君…

「助けて!!!」

ハッ

「…私…いつの間に…」

寝てたんだろう…?
あれは…夢?
何で…泣いてるんだろう?

ツゥ…

頬が…涙を伝う。
悲しいから…泣いてるの?
わからない。何で泣いてるのか…わからないっ…

ガラッ

「っ!?」

「あれ…起きたんだ!大丈夫?」

ホッ

「うん、大丈夫だよ…大気君」

笑ってなきゃ。笑ってなきゃ!
じゃなきゃ…壊れてしまう。…自分が…っ!

「華、本当に大丈夫?具合悪かったら言ってね」

「…うん。だけど、大丈夫だよ!ほら!」

本当は…大丈夫じゃない。
もう…壊れかけてる。

「今日さ、学校でね…」

助けて…?何で言えないんだろう?
なんて言えばいいんだろう?
もう…わからないよ…。

「…聞いてる、華?」

ハッ

「聞いてるよ!」

今は…考えてたら、ダメ…だよね!
でも…

「それで、…」

学校の話…。
もっと…学校行きたくなるじゃん!

グッ

泣いたら…ダメ!絶対っ!

「じゃあね、華!」

「うん、ありがとう…大気君」

「またねーーー!」

ブンブンブンブン

…元気、だね…大気君。
ねぇ…大気君。私…キミを幸せにできてる?
ちゃんと、笑えてる?辛くない?
私のせいで何かを諦めてるんだったら…やめて。

ピロリン

「メール?」

[いい忘れてた!俺、明日から、当分会えないかも!]

えっ…!?どう言うこと?

[ごめん!考えたいことがあるから。だから…待ってて。]

何を…考えるの?
何も…聞いてないよ…?
別れ話?嫌だよ!そんなの…聞きたくない!
神様…私の大切な人達を…奪わないで!

「大気君…っ!」

待ってるから…っ!どんなに悩んでも…待ってるから…!
はやく、帰って来て…っ!