いなくなった彼女


ー大気sideー
彼女がいなくなった。

「華…っ!」

そこに行くと…
彼女の姿はなかった。

「あの…これ…」

カサッ

「えっ…?これって…」

「机の上に…ありました。」

「…っ!」

華…っ!

「こちらが、お母さんのです」

ピリッ

ーごめんね、大気君。
私…怖くて逃げちゃった。
大気君やお母さんが傷つくのが怖くて。
大気君やお母さんを見てると、
胸が痛い。苦しい。辛い。
前より痩せて、やつれて…
そんな姿を見ているとたえられなかった。
笑っていてほしい。一緒にいたい。
そう、思うのに…いられなくてごめん。
私…大気君の笑顔がみたい。
大気君の頑張っているところをみたい。
学校に行けないかもしれない。一緒にいられなくても…
大好きだよ…。ずっと…。
だから…ごめんね。
五十嵐華よりー

ポロ

彼女は…ううん。彼女の方が、よっぽど辛いのに…。苦しいのに。

「…華のお母さん!」

「…大気君…」

「俺、華を探してきます」

「!!私も… 行くわ」

「…っ!はい…」

彼女の心を…救ってあげたい。
俺たち、お互いの幸せを望んでたんだな。

「もう…華のバカ」

はやく、見つけるからね。
1分でも1秒でもはやく!

「…たい」

ザッ

この声…

「…生きさせて、もっと…生きたい!」

「……」

これが…彼女の本音だ。

「…やっと見つけた」

「……!?」

驚いてる。

「…何で…」

ぎゅっ

「一緒に、生きよう…」

「…っ!」

キミにちゃんと…伝えなきゃ。
キミが伝えてくれたんだから。
俺も…。

「あぁっ!私…」

「俺が、いるから。ずっと…一緒にいるから!」

「…っ…///」

彼女の心を救いたい。
笑わせてやりたい。

「うん…うん!」

「…///」

「ずっと…離れないから!」

「…」

もう…大丈夫だよな、俺たち…。
彼女は笑った。
泣きながら…。