罪あることの荒唐

「王の叔父を覚えておいでか」

「感じの悪いおっさんだろ」

 数年ほど前から病弱な王の代わりに国政を任されている摂政(せっしょう)である。

「常々の罪人への厳しい処置が目に余り。王に報告をしたところ──」

「はあ!? あのおっさん、ジルの意見に反抗したの!?」

「叔父上のいないときを計ってご注進したのですが、聞かれてしまい」

「でも。それでなんで、ここにいんの?」

 ツムの問いかけに、男は顔を伏せ右の手甲を外す。その途端、ツムの表情は険しくなり、握った拳を振るわせた。

「あのハゲオヤジ──ぶっ殺す」

 ふつふつとツムの怒りが見て取れる。

 罪人(とがびと)の烙印にユタも息を呑んだ。話からしてこの男は、かなり上の地位にいた奴だ。少なくとも、王族から信頼されていただろう。

「で、誰?」

 ユタは二人の話が飲み込めず問いかけた。

「聞いたことねえのかよ。烈刃(れつじん)のジルファリドって言えば、おっさんでも解るだろ」