罪あることの荒唐

「!? ツム! 逃げ──」

 もしや本当の狙いは王女なのかと青ざめた。しかし男はツムの前にひざまづき、ユタは目を丸くした。

「え?」

 唐突に男がひざまづきツムは呆気にとられている。

「よくぞ、ご無事であらせられた」

 野太い声で発しフードを脱ぐと、栗色の髪がさらりとこぼれる。服装こそ、みすぼらしく見えるも、手首の手甲から男の育ちの良さが窺えた。

「え? ジルファリド!?」

 知り合いなのか、ツムは嬉しさで顔を瞬刻、ほころばせてすぐ眉を寄せた。

「なんで、ここにいるんだよ」

「申し訳ない。私の不徳の致すところ」

「それ、きっと違うよね」

 今までにない凜とした眼差しにユタは驚いた。これが、本来のツムなのか?

「ジルが正しくないことをする訳がないじゃん」

 それに、男は苦笑いを浮かべる。