罪あることの荒唐

「なんだって!?」

「王女を守ったのは罪人だ」

 賢者の部屋は城の裏手、城壁の側にあり、王女はよく裏庭の花畑で遊んでいた。もちろん、いくら城内でも危険だからと護衛もつけている。

 ある日、いつものように花畑でバスケットを広げ、昼食を食べようとしたとき突然、現れた野盗が王女めがけて短剣を突き出した。

 そこに罪人が飛び出して盾となり、王女の命を救った。

「罪人がいたことも疑問だが、野盗は一人ではなかった」

 失敗だと解ったと同時に、野盗がさらに二人現れて護衛たちが立ち向かう。

 賢者は王女を抱きかかえてその場から逃げたが、野盗は執拗に追ってきた。賢者は野盗の攻撃をかわすため、部屋に駆け込み火を放ち隠し通路から城外に脱出した。

 そうして賢者の部屋は焼失し、王女は死んだとされた。

「ちょっと待てよ。死体がないのに死んだことになったのか?」