耳にかかる息がくすぐったい。
だけど、その数秒後…ガチャガチャと扉を開けようとする音が聞こえた。
ドキドキと早まる心臓。
ただでさえ、緊張するシチュエーションなのに、さらに人に見られたら…と思うと心臓が鳴り止まなかった。
「あれ…開いてない…鍵もってこないとか…」
ドアを開けようとしていた声の持ち主は、パタパタと去っていった。
同時に、私の口を抑えていた手も離れる。
「行ったか…」
だけど、手は緩んでも体制はそのまま…
耳にもろにかかる息に、私は我慢できなかった。
「ひゃぁ…」
自分でもびっくりする声が出る。
私の反応を見て、貴大さんはまた昨日のような意地悪な笑みを浮かべた。
「千夏は耳が弱いのか。」
そう言って、ぺろっと耳を舐める。
「ふぇ…ちょっ…」
抵抗出来ないように、手を拘束され、なすがままになっている。
膝がガクガクして、立っているのもやっとだ。



