状況を言っておくと、私は今いじめられている。

ばれない程度に、こっそりと。

いじめているのは、あの3人とその友達2人の計5人。

なんで、こんなことには、頭が回るんだろう?

上履きや教科書がなくなったり、机の中がゴミだらけだったり。

あいつらも、私がこのクラスに友達がいないことを知っているから、ネットや黒板に悪口書いたりはしてない。

多分、これからされるだろうけど。

まだ、始まって1週間だし。

日々エスカレートしつつあるけど、なんとか耐えられている。

最初は、無視だった。

いや、そんなこと言ったら入学してからずっとされてるか。

そうじゃなくて、もっと本格的。

例えば、今までは、一緒にいて3人が適当にしゃべっているだけ。私が相槌を打っても、スルーされる、そんな程度だ。

今は違う。

私が教室に入るなり、嫌な顔をされ教室から出る。

ついて行くと、「邪魔」とストレートに言われた。

あれはさすがに、グサッときた。

それ以来、私はあの3人のクラスに行ってない。

行けばまたストレートに言われるし、何より行かない方がずっと楽。

けど、あの5人は私に近づいて来る。

昼休みになれば、私の教室に来て「一緒にご飯食べよ~」と、甘ったるい声で呼びにくる。

校舎裏にあるベンチに座り、弁当を食べようとすると、弁当箱を落とされる。

「あっ、ごめん~」

ふざけた謝罪は、もはや怒ることさえくだらなくなる。

中身はもちろん全て出ていて、私は昼食を食べれない。

ぐちゃぐちゃの具をほったらかし、弁当箱だけを回収する。

5人が楽しくしゃべっている内に、教室へ帰る。

そんなことが1週間も続いている。

きっと、今日も昼食はないだろう。

キーンコーンカーンコーン

朝のチャイムがなり、ゆっくり顔を上げる。

今日も長い1日が、始まった。それにしても、何で私がいじめられていることを、誰もきずかないんだろう?

事務の人も、担任も、クラスメイトも、両親も。

"私"という人間に、誰も興味がない。

誰もが客観的に"私"を見ている。

事務の人は「忘れ物をよくする女子」

担任は「1人の生徒」

クラスメイトは「よく分からない人」

両親は「しっかり者の娘」

誰も深入りはしない。

この人なら大丈夫、この人はバカだからほっておこう、この人は関係ない。

いじめが発覚しにくいのは、「大丈夫」だと周囲に思われている人が狙われるからだ。

教師も自分の評価だけで、"優等生"しか見ていない。

いじめる側もちゃんと考える。

このくらいなら大丈夫、こいつは何も言わない。

ターゲットをさだめ、自分の快楽、優越感のために他の人もいじめる。

それも、徹底的に。

だからこそ、気づいた時には1人の人間が死んでいる。

人は事が大きくなって、ようやく気づく。

どれだけ重要だったか、どれだけ命が尊いか。

つまり、知るためには、誰かが犠牲にならないといけない。

そんな辛い現実が目の前にある。

地面に落ちてぐちゃぐちゃの、弁当の具。

ご飯も、グラタンも、何もかも土について汚い。

今日が初めてじゃないのに、体からゆっくりと力が抜け、発狂してしまいそうになる。

そんな私をあざ笑う5人の女子。


つらい


逃げたい


死にたい

この世は平等じゃない。

必ずし強い人と弱い人がいる。

頭の良い人と悪い人がいる。

誰にだって弱点がある。

考え方も違う。

感じ方、嬉しいこと、悲しいこと、楽しいこと...全部が違う。

だからいじめられるのかな?

考え方が一緒だったら、感じ方が一緒だったら、嬉しいこと、悲しいこと、楽しいこと、全部一緒だったらいじめられなくなるのかな?

助けを喘ぐこともできない。

救ってくれる手はない。

入学してからずっと、こいつらの為に尽くしてきたという現実をみると、自分がどれだけ未熟だったか、どれだけバカだったか。

喪失感と共にわき上がってきた疑問。

何で?

何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で?

何で私がいじめられるの?

もういい。

誰か私を殺して。