~~現在~~

シンと静まりかえった家。

テレビはまだ付けっぱなしだが、その音は聞こえないに等しい。

その時、私の中で何かが完結した。

夢に出てきたのは、マナ、その子というのは、もちろんマナの事。

「じゃあ…」

私は真菜に問いかける。

「あなたは、蓬田真那(よもぎだ まな)なんだね。」

「……そうだよ。」

そうか…

私が悪いんだ。

全部。

真那が見たのは、私がお土産に八つ当たりしたところだ。

「何で私がそんなことしたんだと思う?」

真那は私を睨んだ。

今にも怒りだしそうだ。

「言い訳なんか聞きたくない!」

真那の怒鳴り声が、テレビの音を相殺する。

「私は、辛かった。お母さんも、お父さんも知らない!おじいちゃんも、おばぁちゃんも死んだ!本当は、お土産なんか買いたくなかったよ。だけど…」

真那は机の上で、拳を握る。

「だけど、買ったんだよ。だって、真菜とは友達だった、親友だった。それなのに…」

私はただ眺める事しかできなかった。

真那の言うことを、聞く事しかできなかった。

だけど、いわないといけない。

「真那…」

真那は涙目で私を睨む。

「私はね、悔しかったの。」

真那をしっかり見ながら話す。

もう、逃げない。

「私は、お母さんもお父さんもいる。なのに、仕事仕事って旅行に行った事はない。なのに、何で真那はいけるんだって、そんなの不公平じゃないかって。」

私は、深呼吸をする。

気持ちを落ち着け、また話す。

「だからかな?無性に踏んずけたんだ。大事にランドセルの中に入れてあったキーホルダー引っ張りだして。」

真那は睨むのを辞めない。

許されないだろうけど、しっかり伝えよう。

「ごめんね。」

真那は、怒らなかった。だけど、許しもしなかった。

何も言わずに、私の家から出ていってしまった。