裏切り者

ピーンポーン ピーンポーン

どれくらい経っただろうか?

辺りはもう薄暗くなり、テレビでは面白くないバラエティ番組がやっていた。

殴っていた壁は、壁紙か少し剥げていた。

ピーンポーン ピーンポーン

玄関のチャイムがきこえる。

動きたくないと叫んでいる体に鞭を打ち、私は玄関に向かった。

鍵を開け、ドアを開けると、マナがいた。

私は一瞬息が止まってしまったと思う。

それ程までに唐突で、意外な来客だった。

「マナ…」

私は今にでもマナに殴りかかってしまいそうな衝動をこらえ、マナが何か言うのを待った。

「少し…お話しましょ。」

マナは笑った。

私はいつものように、つられたりせず、首を縦に振った。

「中に入って。」

私が招くと、すんなりとマナは家の中に入る。

リビングに案内し、ダイニングテーブルの椅子に座らせる。

マナはキョロキョロするわけでもなく、ただ単に、真っ直ぐ、姿勢良く座っていた。

「昔話をしましょう。」

私がお茶を持っていき、マナの向かい側に座るとマナは静かに語りだした。