裏切り者

結局、誰もが生きる理由を探してる。

私の場合、たまたまそれが"復讐"だっただけ。

家族にも、友達からも見捨てられ、行くあてのない私が見つけた光。

手放す訳にはいかない。

その執念で、今私は、弥生を尾行している。

弥生は放送部で、雛と仲が良い。

ゆるい、と噂の放送部。

いつ部活が終わってもおかしくない。

杏奈の時のようにゆっくりせずに来たせいで、疲れた。

杏奈の家も遠かったが、弥生の家はもっと遠い。

もう、40分くらいは歩いたと思う。

そういえば、弥生の家は華道と家元とかいってたな。

家も、和風かも。

弥生が、1軒の家に入った。

「...でっか」

そこは、和風のお屋敷だった。

玄関の前の、立派な松の木が、分厚い塀の上から見えている。

華道の家元って、儲かるのかな?

って、こんな事している場合じゃない。

スマホを起動し、杏奈の家を調べた時と同じように、地図アプリの情報をスクショした。

こんなに大きい家に住んでいるなら、世間を震わせるほどの秘密を、持っているんじゃない?

そう考えると、胸の中が熱くなる。

あぁ、早く知りたい。

社会的信頼を失ったあいつらの顔を想像すると...

今の私は、遠足の前日の小学生だ。

まだまだ遠いその日を、心待ちにしている無邪気な子供。

私は、ドキドキしながら、弥生の家をあとにした。