「んっ...」

起きるとそこは、リビングだった。

どうやら、今さっきのは夢だったらしい。

時間を見ると、5時30分。

部活終了時刻30分前だ。

少し早いけど、行こうかな。

ソファーから起き上がり、玄関で靴を履く。

ここから学校までは、だいたい10分かかる。

通っている人達の中でも、短い時間で来れる人の部類に入る。

住宅街に囲まれているけど、かなり道が入りくんでるからか、思ったより時間がかかる。

まぁ、そのおかげで同じクラスの人に会いそうになったら、逃げるんだけどね。

あっ、学校の校門が見えてきた。

さて、問題はどこに隠れるかだ。

なるべく遠くなく、かといって怪しまれない所がいい。

どこか、どこかないのか。

回りを見ていると、少し先にバス停があった。

よし、ここで待っているふりをしよう。

バス停のベンチに座り、時々校門の方を見る。

6時近くになったからか、部活を終えた生徒が校門から出てくる。

なるべく顔を見られないようにうつむく。

ここに来て、10分くらい経っただろうか。

「何それ、超うける~」

私はその声に反応する。

あれは、杏奈の声だ。

バレー部で帰っているんだろう、会話の中からは菜結子の声も聞こえる。

ちらり、とそっちを見ながら、ある程度離れると、私はベンチを立った。

バレないように後をつける。

私はすごくワクワクした。

テレビのドラマに出ている刑事のような感じだ。

犯人を追うような緊迫感、見つかるかもしれないというスリル。

心臓が高鳴り、興奮しているのが分かる。

1人、また1人と別れ、杏奈1人になった。

入りくんだ道をどんどん進む。

どうやら、杏奈はこちらにきずいていないらしい。

2、30分歩いただろうか、杏奈は1軒の家に入った。

どうやら、ここが杏奈の家らしい。

スマホを起動させ、地図アプリを開く。

現在地が示されている。

スクショをし、私は杏奈の家をあとにした。