「━━━━はい、以上で説明事項は全てです。
美桜さん、お願いしますね」
「はい!任せてください!」
「ところで、今朝頭を打ったそうですが、大丈夫ですか?」
「うえぃッ?! 何でご存知なんですか修吾さん!?」
「ふふ、風の噂です」
「おっ お恥ずかしい限りです………」
皆さん、私は上司に今朝の失態を知られてしまいました……………
穴があったら入りたいです………………
今は天村の郵便局に来ています。
中は人間界の郵便局と変わらないけど、書類や本が所狭しと並んでいてちょっとごちゃごちゃしてる。
今日は天村の北側にお手紙を配達します!
北は特に自然がいっぱいで素敵なんだよ!
楽しみ!!
天村の住人なら誰でも手紙が出せるようになってて、天上界の人宛ての手紙は青色のポスト、亡くなって人間界に来た人宛ての手紙は赤色のポストに投函するんだよ!
お仕事が終わったら、るり姉と夏と遊べるしね!
自然と足取りも軽くなる。
よしッ!! がんばろ!!
郵便局を出ようとしたら、修吾さんに話しかけられた。
「━━━━━━ 美桜さん、蒼太はお元気ですか?」
「…………え」
一瞬で全身が硬直する。
「……………………あの」
「急にごめんなさい。僕、蒼太の旧友でして。
彼が今どうしているか気になったもので」
「あ………… えっと……………
元気に、してます」
薄いブラウン色の前髪から覗く修吾さんの目が私を捕らえて離さない。
いつもは優しい修吾さん笑顔が、少し怖かった。
頭の中で、さっきの水瀬くんの言葉が渦巻いている。
水瀬くんと仲良いことは修吾さんに言わないほうがいいって………… どういうことなの……………………?
「………………… そうですか、良かった」
「あ………… はい、、、」
「━━━━それと、あなたも気を付けた方がいいですよ?」
「…………え、何にです?」
「蒼太にですよ」
!!?
「なっ………んで…………… ですか…………?」
「ふふ、あなた知らないんですか?」
心臓がドクンドクンと脈打つ。
いやだ……… 聞きたくない……………
「━━━彼が、姉を殺したんですよ?
あなたが信じている彼は、"人殺し"なんです」
「!!!? うそよ!!!
彼がそんな事するはずない!!!!」
「…………あなた、彼に思いを寄せているんですね?」
「………………っ」
「なら、本当の彼を知る必要がある。
……………現実は残酷です。
あなたも叶わないと分かっている恋ならしないことです。」
修吾さんは私から顔をそらし、郵便局を後にした。
「…………一体何なの、」
修吾さんは、"あなたも"って言った
私以外にもいるってこと………?
水瀬くんは……………………?
何が嘘で、何が本当なの……………?
それからの仕事中も水瀬くんと修吾さんの言葉が頭から離れなかった。