━━━━ドサッッ
「っ!! 痛っ、、」
全身を打ち付け痛みがはしる。
とっさについた手がジンジンと痛む。
ふと床を見て、私は異常な現象に気付いた。
「なに!? この床!!」
椅子も机もなくなっていて、床全体に黒と紫をぐしゃぐしゃと組み合わせた模様が広がっている。
床だけじゃない。
壁も天井も教室が一つの箱になったように、模様が広がっている。
「なっ なんだよここは!!」
「嫌だ!早く出してよう!!」
「みんな無事か?!」
みんなの椅子と机も消えていて、しりもちをつくような体制になっていた。
どうやら先生以外の人間がこの異空間に閉じ込められたようだ。
━━━━ ジジジジッ
空間のちょうど黒板があった位置の壁が乱れ、その中から全身真っ黒の何者かが現れた。
「誰だお前!?」
「私たちをどうする気よ!!」
『我が名はディアヴォロス。我が用があるのはただひとり。
"49人目の大使" それだけだ。』
地の底から出てくるような気味の悪い声。
黒い布で全身を覆っていて、表情は分からない。
「誰なんだよ!? 大使ってなんだ!」
『焦るな、これから探すんだよ。この中にいるのは確かなのだからな。』
ディアヴォロスが両腕を広げた。
━━━━━━キィィィィィィィィィィィン!!!!
「っ!! あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
なに……!? 頭が……………割れそう………………っ
私は頭を抱えてうずくまった。
『お前か、大使よ。
さぁ、我がもとに下るのだ。』
ディアヴォロスがじりじりと歩み寄ってくる。
私は消えそうな意識の中、ディアヴォロスを睨み付けた。
「…………大使って、何?
私はただの人間よ……… ヤクザの娘の次はそれ………?
ふざけないで…………!」
『お前に決定権は無いぞ。早く我に従え!!』
威圧的な態度。
黒い布の間から少し見えた目は紫に近い青色で、ひどくくすんでいた。
「あっ あの! ……神宮寺さんも何も知らないって言ってるんだし、人違いじゃないですか?」
おさげ髪のクラスメイト、真島(まじま)さんが助け船を出してくれる。
嬉しさに涙がにじんだ。
『………貴様、我が間違っていると言ったか……?』
ディアヴォロスが左手を真島さんに向けた。
「危ないっ 逃げーーーー」
━━━━━━ドォォォォォォォォン!!!!
「きゃぁぁぁぁぁっっ!!」
真島さんが後ろにはね飛ばされ壁に激突した。
「おい!大丈夫か!?」
「ゆいちゃん!!しっかりして!!」
真島さんは起き上がることができない。