ボールが落ちたのはレフトサイドに近い観客席。
ホームランだ。
まるで、ボールが次にどこに来るか、分かっているようなスイングだった。

3失点が響いて、尽くミスやエラー、失点も許し
波に乗ることもできず私達は負けた。

11-7。
それが結果だった。
私は、表情を失った。
かけることができる言葉が見つからなかった。
誰かひとりがぐすりと鼻をすすった。
それでやっと私は、声を上げることが出来た。
言葉ではない、ただの唸り声。

整列したみんなは、泣いている。
俯いている。
嗚咽を零していたのだろう。

先輩達は、引退。

龍臣は、先輩達を甲子園に連れて行けなかったと悔やんでいるのだ。