「…今日はありがとうね。」
「はい。…今度は、お母さんも連れてきます。」
「楽しみにしてるわ。」
初めて見た叔母さんの笑顔は、やっぱりお母さんに似ていて。
…とても、綺麗だった。
「…じゃあ、また。」
最後に叔母さんの手を握って、別れる。
ドアを閉める瞬間、隙間から見た叔母さんはとても寂しそうで。
―叔母さんは独身で、娘も息子もいない。
あたしが来ることで、少しでも笑ってくれるなら、また絶対にお見舞いに来ようと思った。
「おかえり。」
少し離れた所に座っていた先輩が、ゆっくりと歩いてくる。
「…ただいま。」
ねぇ、来てよかったよ、先輩。
敬子叔母さんと話ができたんだ。
――きっと、もう大丈夫だよね。
「…ありがとうございます。」
心からの感謝を口にして、頭を下げる。
―逃げずに、ちゃんと向き合うことができたのは、先輩がいたから。
―今笑ってここに立っていられるのは、先輩がいたから。
「どういたしまして。」
先輩は、あの優しい笑顔でにっこりと微笑んだ―。

