「梢…。」
「…こんにちは。お久しぶりです、敬子叔母さん。」
久しぶりに会った敬子叔母さんは、心なしか、少しやつれたように見える。
何を話そうかと考えていると、いつのまにか ベッドの上から体を起こそうとしていて、慌てて制止した。
「…悪いわね。姉さん、仕事入ったんでしょ?」
「知ってたんですか?」
「そうだろうな…って思っただけよ。じゃないと、あなたが来るわけないもの。」
自嘲気味に笑う敬子叔母さんを見て、少しだけ心が痛んだ。
今の状況のせいもあるのかもしれないけど、記憶の中の叔母さんよりも遥かに弱々しく感じられて。
窓の外を眺める叔母さんを直視できず、ただ無言で俯くと、叔母さんは再び口を開いた。
「別に責めてるんじゃないのよ。むしろ、謝らなきゃならないのは私。」
「え…?」
「あなたには、申し訳ないことをしたと思ってる。
あなたも…、義兄さんも…、何も悪くなかったのに。
姉さんを恨むことができなくて、あなたたちに向けてしまった…。」
「叔母さん…。」
「義兄さんも、ただ姉さんを好きだったから、姉さんを選んだ。その結果、あなたが生まれた。
…今はもう、ちゃんと理解してるけど、昔はどうしても、許すことができなかったの。」

