「それに…」
「?」
「どこ行くのか知らないけどさ、こんな重いの持って行けないだろ?
…だから俺が持ってやるよ。お詫びも兼ねて、荷物持ち。」
ニヤリと笑った先輩は、抱えたままの紙袋をあたしに見せる。
「あ…りがとう。」
「どーいたしまして♪」
――ほんとは、不安だったんだ。
バス降りてからも少し歩くのに、あたし ちゃんと持って行けるのかな、とか。
…なにより、数年ぶりに会う敬子おばさんが、どんな顔して、どんなこと言うか、とか。
でも 先輩が隣にいると、大丈夫な気がしてくる。
イヤだったはずの道のりが、少し楽しく感じられるほどに。
やっぱり、先輩は優しい人。
先週も先々週も ずっと忙しかったし、来週も忙しい先輩。
きっと休みたかったはずなのに、嫌な顔ひとつしないで、あたしに付き合ってくれるんだ。

