…また、助けられてしまった。 今思えば、あたしが目覚めたのは『誰かの気配がしたから』だ。 もしかしたら、その『誰か』が『付箋の人』…? もう数秒前に目が覚めていれば、後ろ姿ぐらいは見えたかもしれないのに。 残念なことに、がらんとした教室には自分以外の存在を感じさせるものは何も残されていない。 「あーあ…。残念。」 開け放された窓からは微かに秋の気配を感じさせる風が入っていて。 それがなければ、せめて残り香くらいはあったのではないかと悔やんだ。