「…桑田って、お坊ちゃんなのね…。」



そんな桑田邸を見上げて、ポツリと千佳ちゃんが言った。




「俺、その単語、一番嫌いだから。」



…と言いながら、
桑田は慣れた手つきで大きな門の鍵を開けた。




「ほら。いつまでボーっと突っ立ってんだよ?ついてこいよ。」




あまりの豪邸ぶりに、しばしぼう然としていた私と千佳ちゃんは、その桑田の一言にハッと気付いて、慌てて大きな門をくぐった。