もうお母さんに歌を聴かせることが出来ないのか。
もう一緒に楽しく歌うことはないのだろうか。
けどお父さんは言ったんだ。
冬(父)「お父さんの大好きな冬真の歌を聴かせて。......っ、ずっと聴かせてくれ......。」
幼い俺の前でボロボロに泣きながら。
だから俺も泣きながら歌ったんだ。
小学5年生の頃にお母さんがいなくなった意味がようやく分かった。
お母さんはお父さんと俺を捨てたんだ。
他の男の所に行ったらしい。つまりは浮気だ。
今ならわかる、お母さんが出かけに行ってた理由が。
いつもお父さんが夜勤の日に出掛けてた意味が。
無性に腹が立った。
歌うとどうしてもお母さんの顔が出てきて、それが嫌で歌うのもやめようと思った。
だけど、歌うのをやめたらお父さんが悲しむから。
お父さんは俺の歌で救われるって言っていた。

