「ちょっとだけいいかな?」


「はい・・。どうぞ。」


声がより私に近づく。

気配から、そのままお二人は私の前まで来て座ったと分かった。



「君にちょっと聞いてもらいたい“声”があるんだ。」


「・・はい・・。」


“ピッ”という音がしてからしばらく・・・・



“ナツコの事聞きにきたんじゃないのか?”

“ウグッ・・!”

“確かにナツコには何回もフラれたよ・・”

“でも俺は殺しちゃいねぇよ!”



真田さんでも小西さんでもない声が聞こえてきた。


「ミハルちゃん。
この声に聞き覚えはあるかな?

君が帰宅した時に鉢合わせした男の声と比べてどうだろう?」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」



正直、もうあの時の事は思い出したくもなかった。


でも・・真田さんに言われて、
抵抗する記憶を必死に呼び起こす。



「・・・・・・違うと・・思います。

私が聞いた声は・・その人じゃないです・・。」


「・・・そっか。
ごめんね辛い事思い出させて。」


「・・ごめんなさい・・
お役に立てなくて・・。」


「君がそんな事気にする必要ないよ。

大丈夫。ナツコちゃんをあんな目に遭わせた奴は必ず捕まえるから。」


「はい・・。ありがとうございます。」