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「だーれだ?」


なっちゃんが『どこ行った~!』と探し回っている間、

その場で佇んでいると、
目元の所に誰かの手の感触が伝わった。


「・・・・サトシお兄ちゃん。」


「ハハ。当たり~!」




なっちゃんと姉妹のように仲が良かったと同じ様にもう1人、

この施設には兄妹のように仲が良かったサトシ君という男の子がいた。


サトシお兄ちゃん、なっちゃん。


春の田植え体験も、
夏のプール開きも、
秋のお芋収穫も、
冬のクリスマスパーティーも。


私達はいつも3人一緒にいた。



「どこにいたの?
なっちゃんがずっと探してるよ。」


「ごめんごめん。あんまりにも2人が遅いから先に砂場で遊んでた。」


「ウソ。」


「え・・?」


「砂場で遊んでたんだったら砂がついてるはずだし、手を洗ったんだったらもっと湿ってるはすだし。」


「・・すごい。手の感触だけでそんなことまで分かるんだ。」


「うん。」


「ミハルに渡したい物があったから隠れてた。・・・・ナツコには内緒だよ。」


「・・・?ポケットになにか入れた?」


「この前、園長先生が手芸を教えてくれたから、ビーズでブレスレット作ってみた。

あとで向こう帰ったら手首にはめてみて。」


「びーず・・?ぶれすれっと・・?」


「出来映えは下手くそだから笑うなよ。」


「・・・見えないから下手かどうか分かんないよ。」